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遠藤さん、コミュニケーションって何でしょう? 〜3社合同勉強会vol.2「コミュニケーション」編レポート〜

2017.4.16

4/7(金)に、株式会社OVERKASTの遠藤哲生さんを講師にお呼びして、「コミュニケーション」というテーマで勉強会を行いました。

この勉強会は、普段から親交の深い株式会社おいかぜさんと、有限会社アーキテクトタイタンさんとの、合同勉強会の第2回目にあたります。

 

会社の枠をこえて、お互いに興味関心のあるテーマについて学ぼうというこの勉強会。

今回のタイトルは、《Webディレクターのための「チーム内コミュニケーション」と「対クライアントコミュニケーション」の考え方》でしたが、総勢19名の参加者の中には、ディレクター以外にもデザイナーやエンジニアの姿も少なくありませんでした。

 

職種によらず、「コミュニケーション」は普遍的なテーマ。

私自身、翠灯舎ではディレクター兼ライターとして仕事をしておりますが、それぞれにおける細かな悩みや課題はすべて、

「ちゃんと思っていることが伝わっているのかわからない」

というのが、根っこのところで共通しているように思います。

 

遠藤さんご自身も、エンジニアとしてキャリアをスタートし、その後デザインを学び、現在は「エンジニア」「デザイン」「ビジネス」の三者間をつなぐディレクターとして活動されているという経歴の持ち主。

そんな様々な領域の職種を経験されてきた遠藤さんは、どのように「コミュニケーション」を捉え、どのようなことを大事にされているのでしょうか?

今回の勉強会では、コミュニケーションのテクニックではなく、本質から考え直す、とても刺激的な時間となりました。

 

 

【そもそも「コミュニケーション」って何だろう?】

 

「チーム内」「対クライアント」と、タイトルでは「コミュニケーション」について分けて考えていますが、そもそも「コミュニケーション」って何なのでしょうか。

 

「ポストイットに、コミュニケーションとは何か、一文で書いてみてください」

と遠藤さんに言われ、とっさに私が書いたのは「意思疎通」。

英語の授業で習ったcommunicationの日本語訳そのものです。

もっと平易な言葉で言うと「思っていることを互いに伝え合うこと」かなと思いました。

 

遠藤さんいわく、広辞苑にはこのように書かれているそうです。

「人間の間で行われる知覚・感覚・思考の伝達」。

「思考」はわかるけれど、「知覚」「感覚」ってどういうことでしょう……?

 

遠藤さんは、

・人と人との間には、「言葉で通じるもの(内容)」と、「言葉で通じないもの(関係)」のふたつが存在する

・「関係」が「言葉」をつくる

と言いました。

 

ー「すべてのコミュニケーションには、「内容」と「関係」の二面があり、後者は前者を包み込み、そのメタ次元のコミュニケーションをなす」(出典:『コミュニケーション学講義』)

 

それを聞いて私は、「言葉で通じないもの(関係)」のほうを取りこぼしていたなと思いました。

言葉で通じないものというのは、たとえば表情とか、態度とか、仕草とか、声とか、トーンなどです。

なるべく言語化するとか、ドキュメント化するとかばかりに気をとられていましたが、

そういったものにあまり注意を向けていませんでした。

 

確かに、同じ内容を伝えるのでも、自分の家族に伝える場合と、初対面の人に言うのとでは言い方が異なります。

「関係」が異なれば、伝わりやすい「言葉」もおのずと変わってくる

「内容」が「言葉」をつくると思い込んでいた私にとって、それは発想の大転換でした。

 

 

 

【「心理的な安心の場」をつくるために】

 

Googleでは、どうしたらチームのパフォーマンスが上がるのかの研究がなされていて、そのキーワードとして「心理的安全性」が挙げられているそうです。

それは、みんなが「あいつ無能だなーとか思われたらどうしよう」とか「こんなことして怒られたらどうしよう」などといった不安をもたずに、のびのび、リラックスして発言・行動できる状態とのこと。

 

遠藤さんは、そんな「心理的な安心を生む場」をつくるために、コミュニケーションにおいて大事にしていることのひとつに、

「HRT」(出典:『Team Geek』

ということを挙げていました。

 

HRTとは、Humility(謙虚)、Respect(尊敬)、Trust(信頼)の頭文字。

お話を聞きながら、この3つはそれぞれベクトルが違えど、すべて繋がっているように思いました。

自分は発展途上であると自覚することで、人は学んだり、誰かと力を合わせようとしますし(謙虚)、

他者のこれまでの仕事をきちんと評価することで、その人を大事に扱えるようになり(尊敬)、

その人を信じて頼ろうと決めることで、仕事が増え、広がり、チームが機能します(信頼)。

 

謙虚と卑屈、尊敬と劣等感、信頼と丸投げは似て非なるものですが、

それらの違いは、建設的かどうか、次に繋げられているかどうか、ということなのではと思いました。

失敗やうまくいかないことばかりに目を向けるのではなくて、「ではどうしたらうまくいくだろう?」と前向きになることが、「心理的な安心を生む場」を構成するひとつの要素になるのではないでしょうか。

 

 

【みんなの課題について話してみよう】

 

この勉強会の前に、参加者全員に

・コミュニケーションにおいて課題だと思うこと

・コミュニケーションにおいて工夫していること

について聞きとりをしていました。

 

各自が感じる課題にもいろいろあり、例えば

 

・伝えたつもりが、ちゃんと伝わってないことが多い。認識のずれがある。

・チームメンバーやクライアントの事情がよくわからない。

・誰が何をやるのかはっきりできていない。

・相手となかなか打ち解けられない。

・怒る人がいるとやりにくい。

などなど。

それを見ながら(あ、みんな同じようなことで悩んでいるんだな……)とちょっとほっとしました。

 

また工夫していることには、

・タスクとスケジュールを明確にする

・ドキュメントを作る

・相手のスキルを尊重する

・仕事以外の話を積極的にしてカジュアルな雰囲気をつくる

・ビビらずに意見を言う

などが挙がっていました。

 

 

さてここからは、ざっくばらんにディスカッションタイム。

遠藤さんに対して質問を投げかけたり、今まさに悩んでいることを具体的に話したり。

遠藤さんからはそれぞれに回答がありましたが、そのどれもが

関係を育てていくこと

に帰結するように思いました。

まずは「心理的な安心」を土台にもった関係を育むこと。

その「関係」が言葉をつくり、「内容」を伝え、ひいては密度の高いコミュニケーションをつくっていきます。

「内容」だけに着目するのではなく、まずは「内容」を囲んでいる「関係」に目を向けることの大事さを感じました。

 

 

【では、来週からどんなことができるだろう?】

 

 

遠藤さんの講義、そしてみんなの課題や工夫していることを共有した2時間。

最後に「では、来週から何をやろうと思いますか?」ということで、その答えを、各自ポストイットに書き出しました。

 

そのポストイットをグルーピングし、共感できるものにシールで投票します。

 

チーム内コミュニケーションで多かったのは

・HRT

・あたらしいメンバーと仕事をしてみる

の2点。

ちなみに私もHRTに一票!

HRTを意識することで、あたらしいメンバーとの仕事は自然と生まれていきそうです。

 

 

そして対クライアントコミュニケーションで多かったのは、

 ・多角的な提案をして、本音を探る

 ・時々叱る(当事者意識とプロ意識をもって、ビビらずに意見を言う)

の2点でした。

 

こちらは、「本音」と「ビビらない」がキーワード。

当事者意識をもって、きちんと意見を言い、フィードバックを得る、というプロセス、あるいはそういったことができる「関係」づくりに、みんなの関心が集まったようです。

 

 

【コミュニケーションは、「生む」のではなく、「すでに在る」もの】

 

 

最後に、遠藤さんが「コミュニケーション」は「オーケストラに入ること」だという言葉を教えてくださいました。(出典:『コミュニケーション学講義』)

今目の前にあるオーケストラに入って、他者とノリ(関係)を合わせて、自分の音(言葉)をつくりだすこと。

 

この日に学んだ「関係が言葉をつくり、つないでいく」という考え方は、これからも忘れずにいたいです。

 

 

その後、三社と遠藤さんで交流会を行いました。

食事には、おいかぜさんの近くのNOTTA CAFEさんのオープンサンド!

普段なかなか話せない方とも交流することができ、楽しい時間になりました。

 

 

コミュニケーションの根幹から考える、とても刺激的な勉強会でした。

ここで学んだことを、毎日の仕事に活かしていきたいです。

 

遠藤さん、本当にありがとうございました!

(土門蘭)

 

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